タイ南部大洪水 レインボムではなく構造的な人災 インフラの欠陥と閣僚発言が波紋
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タイ南部で発生している深刻な大洪水は、地域住民に甚大な被害をもたらしています。しかし現在、タイ国内ではこの災害の原因と政府の対応を巡り、激しい議論が巻き起こっています。単なる「天災」ではなく、防げたはずの「人災」だったのではないか――。怒りの矛先は、インフラ管理の不備と、被災者の感情を逆なでするような閣僚の発言に向けられています。
当初、この洪水は「レインボム(爆弾のような集中豪雨)」という異常気象による不可抗力であると説明される向きがありました。しかし、専門家や市民の間からは、主たる原因は雨量そのものではなく、「構造的な失敗」にあるとの指摘が相次いでいます。排水システムの不備や都市計画の甘さなど、長年放置されてきたインフラの問題が、今回の豪雨によって一気に露呈した形です。
こうした状況下で、タマナット・プロムパオ農農業・協同組合相の発言が火に油を注ぎました。避難の遅れについて「我々は警告した。しかし、市民は財産を心配して避難しなかった」と述べました。この発言は、全財産である家や家畜を置いて逃げることが困難な貧困層への配慮を欠くとして、強い批判を浴びています。
政治的な議論が続く一方で、現場の救助隊員たちは限界を超えた状況に直面しています。タイの著名な俳優であり、ボランティア救助活動を率いるプル・ナーコーン氏は、「住民が助けを求める声が至る所から聞こえる。しかし、水流が激しすぎてボートが近づけない」と涙ながらに現状を訴えました。
ある救助隊員の証言によると、救出した家族を乗せたボートが激流によって転覆し、母親の手から幼い子供が離れて流されてしまったという胸が張り裂けるような事故も発生しました。
ある高齢の女性は、飼い猫と共に木の上に逃れ、水も食料もない状態で3日間を耐え抜きました。救助隊が到着したとき、女性も猫も無事に保護されたという。
タイ防災局(DDPM)が発表した11月26日午前6時時点の最新データによると、南部9県では依然として深刻な浸水が続いています。被災者は約98万世帯、計270万人に達し、これまでに18人の死亡が確認されました。その一方で、北部および中部のチャオプラヤー川流域の水位は減少傾向にあるという。





















