タイ王室改革要求は「違憲」、学生らに活動禁止命令
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タイの憲法裁判所は11月10日、タブーとされてきた王室の改革に言及した昨年8月の反政府抗議集会に関し、主導した大学生ら3人について、「立憲君主国家を転覆させようとした」と判断し、憲法違反と認定しました。その上で3人を含むすべてのデモ参加者に対し、王室への批判的な行動をやめるよう命じました。
集会は2020年8月10日、バンコク郊外のタマサート大学敷地内で行われました。大学生らが王室を公然と批判し、王室への侮辱を取り締まる不敬罪の廃止など10項目の改革を要求しました。憲法裁は、大学生らの要求について、「国王の下にある民主主義制度の弱体化につながる」などと指摘し、「人は国王を元首とする民主主義政体の統治を打倒する権利または自由を行使できない」とする憲法第49条に違反すると断定しました。
判決を受け、3人のうちの1人の女子大学生は「判決は受け入れられない。王室改革は、王室がタイ社会で長く続くようにするためのものだ」と訴えました。
反発する大学生ら若年層は2020年2月以降、政権退陣や王室改革を求める反政府デモや抗議集会を展開し、同10月にはバンコク中心部でデモ隊と警官隊が衝突して負傷者も出ました。その後、政権側が不敬罪を適用して主導者らを相次いで拘束し、抗議活動は下火になっていますが、プラユット政権は今回の判決を利用して反政府デモの抑え込みを加速させる可能性があります。