タイ政治 新政権樹立か議会解散か 緊迫の攻防
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タイの政局が緊迫しています。タイ誇り党のアヌティン・チャーンウィーラクーン党首が少数与党政権の樹立を宣言した一方、首相代行を務めるタイ貢献党のプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相が議会解散を求める勅令を国王に提出したことが明らかになり、新首相の選出と議会解散のどちらが先に行われるか、予断を許さない状況となっています。
この政治的混乱は、憲法裁判所の判断によりペートンターン・シナワット首相が失職したことに端を発します。その後継を巡り、連立与党だったタイ貢献党とタイ誇り党が、それぞれ政権樹立の主導権争いを繰り広げてきました。
■タイ誇り党、少数与党政権の樹立へ
2025年9月3日、タイ誇り党のアヌティン党首は、他党と合わせて146議席を確保し、少数与党政権を樹立する意向を正式に表明しました。
この動きを決定づけたのは、議会第一党である国民党の動向です。国民党は、アヌティン氏を第32代首相として支持する投票を行うことを決定しました。これにより、アヌティン氏は国民党の142議席の支持を得て、少なくとも288票を獲得し、首相選出に必要な過半数を確保する見通しとなりました。
■国民党が提示した5つの条件
ただし、国民党の支持は無条件ではありません。タイ誇り党との間で交わされた合意文書には、以下の5つの重要な条件が盛り込まれています。
1. 新首相は就任後4ヶ月以内に議会を解散し、総選挙を実施すること。
2. 選挙で選ばれた憲法制定会議(S.S.R.)による新憲法の起草を推進すること。
3. 政権は少数与党の状態を維持し、他党からの議員引き抜きを行わないこと。
4. 国民党は連立には参加せず、野党として新政権の監視を徹底すること。
5. 国民党から閣僚を輩出しないこと。
■タイ貢献党、議会解散で対抗
一方、タイ誇り党の動きに対抗し、タイ貢献党所属で首相代行を務めるプームタム副首相は、すでに9月2日付で議会解散を求める勅令を国王に上奏したことを明らかにしました。「民主主義のプロセスが歪められている」と述べ、国民に信を問うべきだとの考えを示しました。
■今後の見通し
これにより、タイの政治は「アヌティン氏を新首相に選出するプロセス」と「国王の勅令による議会解散」という二つの道が同時に進行する異例の事態となりました。
今後、国王の判断により議会解散が先に公布されれば、首相指名選挙は行われず、総選挙に突入します。一方で、首相指名選挙が先に行われれば、アヌティン氏を首班とする新政権が発足しますが、4ヶ月という短命政権となることが約束されています。どちらのシナリオになるか、タイ国民は固唾を飲んで見守っています。





















