タイのダイキン工場で労使紛争 ボーナス交渉決裂でロックアウトへ
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タイ東部チョンブリー県のアマタシティ工業団地にある空調機器大手「ダイキン・インダストリーズ(タイランド)」にて、年末ボーナスなどの待遇を巡る労使交渉が難航しています。会社側は2025年12月6日より、労働組合員を対象としたロックアウト(作業所閉鎖)を実施すると発表しました。
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■「解雇」ではなく「ロックアウト」
今回の会社側の措置は、一部で噂されているような「解雇」ではありません。 これはタイの労働関係法に基づく「ロックアウト」という措置です。労使協定が締結されるまでの間、会社側が組合員の就労を拒否し、その期間の賃金の支払いを停止するものであり、従業員の籍は会社に残っています。
■ ネット上の「フェイクニュース」について
SNS上では、「従業員側がボーナス18ヶ月分に加え、20万バーツ(約86万円)の特別金を要求している」といった情報が拡散されましたが、労働組合側はこれを「事実無根のフェイクニュースである」と否定しています。 実際の要求額は、過去の実績に基づいた「7〜8ヶ月分+2万〜3万バーツ(約8万6,000〜13万円)」程度であり、会社側との溝を埋めるべく交渉が続けられています。
■ 交渉の経緯と争点
会社側と「ダイキン・アマタ・ラック・セリー労働組合」は10回以上にわたり交渉を行ってきましたが、以下の点で合意に至っていません。
・会社側の提案:ボーナス5ヶ月分 + 1万,000バーツ(約5万2,000円)+ 昇給2%
・組合側の要求:ボーナス7ヶ月分 + 3万バーツ(約13万円)(当初の8ヶ月分から譲歩し、昨年と同水準を提示)
また、「勤続10年で無遅刻・無欠勤の従業員に対する金の贈呈(約1,300名が対象)」という従来の福利厚生について、会社側が見直しを求めている点も大きな争点となっています。
■ 現場の状況
現地報道によると、工場の前には数千人規模の組合員が集まり、抗議活動を行っています。 参加者は笛(ホイッスル)を吹き鳴らすなどして気勢を上げており、現場は賑やかながらも真剣な雰囲気に包まれています。周辺には警察や行政官が配置され、治安維持にあたっています。 労働組合の代表者はメディアに対し、「ボーナスについては昨年の水準(7ヶ月+3万バーツ(約13万円))であれば受け入れ可能だが、会社側との合意が必要だ」とコメントしています。
■ 今後の見通し
ロックアウトは12月6日午前8時から開始されましたが、対象外の従業員については8日から通常勤務となっています。 双方は近日中に労働保護福祉事務所の仲介による12回目の交渉を行い、事態の解決を目指す予定です。





















