日本の投資家がカンボジアに不信感か? 国境紛争が信頼を揺るがし、タイ・ベトナムへの移転が新たな選択肢に
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タイとカンボジアの国境地帯における不確実な状況が、カンボジアに進出する日本の投資家の信頼に深刻な影響を与えています。多くの関係者が懸念を表明しており、生産拠点をタイに戻すか、あるいは代替投資先としてベトナムを模索する可能性を検討し始めています。国境閉鎖問題が、物流およびサプライチェーンに大きな障害をもたらしているためです。
この問題は、国境閉鎖に至った紛争に端を発しており、その結果、タイとカンボジア間の物品・原材料の輸送コストが3倍以上に高騰しました。これは、タイを生産ハブとし、より安価な労働コストを活用するために近隣諸国へ生産を分散させる「タイプラスワン」政策の下でカンボジアを生産拠点としてきた日本の投資家に直接的な打撃を与えています。
在カンボジア日本人商工会(JBAC)および日本貿易振興機構(JETRO)は、長期化する国境閉鎖がカンボジアの投資先としての魅力を損なっていると明確な懸念を表明しました。投資拡大計画は停滞を余儀なくされ、特に経営体力に乏しい中小企業(SMEs)は、最終的にカンボジアからの撤退を余儀なくされる可能性があると指摘しています。
国境紛争の問題に加え、JETROはカンボジアにおける他の投資障壁も指摘しており、これらが継続的に日本の投資家の信頼を損なっているとしています。具体的には、免税書類発行の遅延、環境関連規制の不透明性、商標権や不公正な競争に関する法執行の非効率性などが挙げられます。
カンボジアへの信頼が揺らぐ中、タイとベトナムが日本の投資家にとって魅力的な2つの選択肢として浮上しています。
タイは、「タイプラスワン」政策の従来のハブとして、インフラと熟練労働者の両面で体制が整っています。タイ政府も、投資委員会(BOI)を通じて、影響を受けた投資家を対象とした支援・救済措置を打ち出し、国内への生産拠点回帰を促しています。
ベトナムは強力な競合国であり、日本の投資家から高い人気を集めています。2021年から2023年にかけて、ベトナムはタイを抜き、日本からの直接投資額でASEAN地域第2位(シンガポールに次ぐ)の国となりました。競争力のある労働コスト、潜在能力の高い若年人口、そして人工知能(AI)や半導体といった新興産業の成長が強みです。
今回の事態は、カンボジア政府にとって外国投資家の信頼を回復するための重要な課題であると同時に、タイとベトナムにとっては優位性を確保し、国の経済を牽引する重要な投資資金を誘致する絶好の機会となっています。





















