タイ首相ペートンターン「大麻自由化を見直し」医療用途限定へ方針転換
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2025年6月23日、タイのペートンターン・シナワット首相は、現行の「大麻自由化政策」を大幅に見直し、今後は医療・研究目的に限定すると正式に発表しました。
この方針転換により、医師の処方箋または診断書がある場合に限り、大麻の使用・販売が許可されることになります。また、大麻販売店には医師の常駐が義務付けられ、規定違反が確認された場合、営業許可の取り消しなどの厳しい措置が講じられます。娯楽目的(嗜好用)の大麻使用は禁止され、タイ国内の大麻関連ビジネスは大きな影響を受ける見通しです。
さらに、保健省は「大麻とヘンプの管理法案」を準備しており、医療・研究・産業用途に限定した大麻の厳格な管理体制を整える方針です。
今回の大麻政策の見直しは、単なる社会的・健康上の理由にとどまらず、タイ政界では「プームジャイタイ党に対する政治的メッセージ」と見る声もあります。
プームジャイタイ党は、前政権下で「大麻自由化」の旗振り役を担い、2022年には大麻を事実上合法化させた中心的な存在でした。しかし、2025年6月18日には政府との政治的連携を正式に解消し、野党に転じることを表明しています。
こうした状況下で、ペートンターン政権が「大麻政策の見直し」を急速に推し進めたことについて、タイ国内では「プームジャイタイ党に対する“けじめ”」「政敵に対する報復的な側面があるのではないか」との見方が広がっています。
一方、ペートンターン首相は「大麻政策の見直しは、青少年保護と社会秩序維持のためであり、政治的対立とは無関係」と強調。政府は「医療大麻の推進と厳格な規制」を両立させる方針を掲げています。
新たな大麻規制の詳細は、保健省が準備を進めており、国会での法整備と合わせて、タイ国内での取り締まりが強化される見込みです。
