干ばつ危機のコーンケーン県 ドラえもん人形で「猫の雨乞い」 動物虐待批判を回避
タイ東北部コーンケーン県ウェーンヤイ郡コンチム地区で、長引く干ばつに苦しむ村人たちが、伝統的な雨乞いの儀式「ヘー・ナーン・メーオ(แห่นางแมว)」を復活させました。雨が2カ月以上ほとんど降らない状態が続き、田んぼの稲が枯れ始め、広い範囲で立ち枯れする恐れが出ているためです。
現地報道によりますと、2026年8月4日、同地区の村人100人以上が参加し、村の周辺を約3キロにわたって練り歩きました。行列では、昔ながらの儀式で使われる本物の猫ではなく、猫のぬいぐるみとドラえもんのぬいぐるみがかごに入れられました。これは、本物の猫を使った場合、動物虐待ではないかという批判や“炎上”を招く可能性があるためだといいます。
行列では、村人たちが伝統に従って水をかけ合い、雨が降るよう祈りました。また、魚をすくう網や魚を捕る道具、竹製の魚かご、農具なども一緒に持ち出され、農作物や生活用水への切実な願いが込められました。
コンチム地区行政機構のチャイワット・ドークマイガーム氏によりますと、今年のウェーンヤイ郡ではほとんど雨が降っておらず、時折小雨が降る程度で、稲作にはまったく足りない状況です。農家の中にはすでに3回も種をまいた人もいますが、土が乾燥して硬くなっているため、米の種が発芽しないケースも出ているといいます。
同地区ではこれまでに、タイ王室雨乞い航空局に支援を要請していましたが、気象条件が整わず、人工降雨の実施には至っていません。ウェーンヤイ郡は主に雨水に頼る地域で、十分な灌漑設備も整っていないため、雨不足の影響を強く受けています。
一方で、タイでは8月に入り、一部地域で洪水が発生しているものの、ウェーンヤイ郡では深刻な干ばつが続いています。特にノーントーン地区バーン・チーター・ワンウェーン付近のチー川では水位が大きく下がり、場所によっては川底が見えるほど乾ききっているとされています。この影響はウェーンヤイ郡だけでなく、ウェーンノーイ郡やチャイヤプーム県との境界地域にも及んでいます。
「ヘー・ナーン・メーオ」は、タイ東北部イサーン地方に古くから伝わる雨乞いの風習です。かつては猫をかごに入れて村を練り歩き、水をかけることで雨を呼ぶと信じられてきました。しかし近年は動物愛護の観点から、本物の猫ではなく、ぬいぐるみを使う地域も増えています。今回の儀式も、伝統文化を守りながら、現代社会の価値観に合わせた形に変化していることを示しています。
村人たちは、科学的な人工降雨への支援を待つ一方で、昔から受け継がれてきた信仰にも望みを託しています。干ばつで弱った稲を救うため、一日も早く恵みの雨が降ることを願っています。





















