タイ日系企業 下半期の景況感は悪化見通し 個人消費の刺激や家計債務対策を政府に要望
日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所の阿部一朗所長は7月1日、タイに進出する日系企業504社を対象に実施した景況感調査の結果を公表しました。調査は2026年5月12日から6月5日にかけて行われました。
調査によりますと、景況感を示すDIは、前年の「0」から2026年上半期には「マイナス6」へ低下し、2026年下半期にはさらに「マイナス7」まで悪化すると予想されています。
企業からは、中東情勢の緊迫化に伴う原材料価格や物流コストの上昇、輸出の減速に加え、タイ国内の景気低迷や個人消費の弱さを懸念する声が上がっています。一方で、半導体関連産業の需要や工場・設備投資は引き続き堅調で、データセンター関連の受注も増加しているとしています。
業種別では、多くの業界で景況感がマイナスとなり、特に繊維業界と小売業で厳しい見通しが示されました。
設備投資については、48%の企業が工場や機械設備への投資を現状維持すると回答し、16%は投資を縮小すると見込んでいます。また、輸出については42%が横ばい、37%が増加、21%が減少すると予想しています。為替相場については、1米ドル=32バーツ、1バーツ=4円程度で推移すると見込まれています。
日系企業はタイ政府に対し、中東情勢の緊迫化への対応に加え、付加価値税(VAT)の還付手続きの改善、家計債務問題の解決、耐久消費財を中心とした消費刺激策、さらに労働許可証やビザ発給手続きの簡素化を求めています。
一方で、タイ政府によるデジタル行政の推進や交通インフラの整備、金融政策の安定化については一定の評価を示しました。また、AIの導入については、32%の企業が導入を進めており、24%はすでに活用効果を実感していると回答しました。主な活用分野は文書作成やデータ処理の効率化ですが、AI人材や専門スキルの不足が課題となっています。
米国の関税政策を巡る不透明感については、42%が「ほとんど影響はない」と回答した一方、39%が「ある程度影響がある」、8%が「大きな影響がある」と回答しました。また、中東情勢の影響による原油価格や物流コストの上昇については、42%が大きな影響を受けると回答しており、原材料やエネルギーの調達先の多様化を求める声も出ています。
さらに、多くの日系企業は、タイ政府が推進する東部経済回廊(EEC)やランドブリッジ構想などの大型プロジェクトについて、今後の投資環境の改善につながる取り組みとして注目しています。





















