タイ地方公務員採用試験で大規模不正疑惑 数千人分の答案データ押収 捜査が拡大
タイで実施された地方公務員採用試験をめぐり、大規模な不正行為が行われていた疑いが浮上し、社会に大きな衝撃を与えています。タイ国家汚職防止委員会(NACC)と汚職・不正行為取締局(PACC)は2026年6月下旬、ノンタブリー県内の関係先を家宅捜索し、試験結果の改ざんに関わるとみられる大量の証拠を押収しました。
問題となっているのは、2025年度に実施された地方公務員採用試験です。同試験では87職種、6,669人の採用枠が設けられ、全国から多数の受験者が参加していました。しかし、その後、一部の受験者が高額な金銭を支払うことで試験に合格できるとの情報が寄せられ、当局が本格的な捜査に乗り出しました。
捜査当局によると、仲介者や試験対策講師の一部が「確実に合格させることができる」と持ち掛け、受験者から35万~80万バーツ(約170万~389万円)程度の金銭を受け取っていた疑いがあります。金額は応募する職種や地域によって異なっていたとみられています。
今回の家宅捜索では、コンピューター本体やサーバー関連機器、デジタル記録媒体など多数の証拠品が発見されました。また、点数改ざん対象者のリストや約3,000人分に及ぶ答案データの写しも押収されたということです。
さらに当局は、すでに約2,000人分の試験結果が不正に操作された可能性があるとみており、この不正による経済的損害は総額45億バーツ(約186億円)を超える可能性があると分析しています。
捜査関係者によると、不正の手口は紙の答案を直接書き換えるものではなく、電子システム上の採点データを改ざんする方法だったとみられています。受験者の中から金銭を支払った人物を特定し、その情報をもとに採点結果を調整した後、最終的な試験データへ反映させていた可能性があるということです。
当局は、この不正が単独犯によるものではなく、複数の関係者が関与する組織的なネットワークであったとみています。試験情報へアクセスできる関係者、データ処理を担当する仲介役、受験者を集めるブローカーや講師などが、それぞれの役割を担っていた可能性があるとされています。
捜索当日には、地方自治体職員を含む10人以上の関係者が現場にいたことが確認されており、現在、事情聴取が進められています。当局は今後、資金の流れやデジタル証拠の解析を進めるとともに、試験運営に関与した関係者や不正に利益を得た受験者についても捜査を拡大する方針です。
また、仮に不正な手段によって採用されたことが判明した場合、すでに公務員として勤務している場合であっても、採用の取り消しや法的措置の対象となる可能性があります。
今回の事件は、数千人規模の受験者と数十億バーツ(数百億円)規模の資金が関わる可能性があることから、近年のタイにおける公務員採用試験不正事件の中でも最大級のケースとして注目されています。捜査当局は、地方公務員採用制度全体の信頼回復に向け、関係者全員の責任を明らかにする方針を示しています。





















