サムイ島でボランティアのタクシー運転手が射殺 違法タクシーによる暴行か 警察の「防犯カメラ全故障」説明に批判集まる
タイ南部スラーターニー県のサムイ島で、ボランティア活動を行っていたタクシー運転手の男性が集団暴行を受けたうえ射殺される事件が発生し、タイ国内で大きな波紋を呼んでいます。警察が「現場周辺の防犯カメラはすべて故障していた」と説明したことにも批判が集まっています。
現地報道によりますと、事件が起きたのは5月24日夜、サムイ島内のホテル前付近です。死亡したのはシカリン・プロムチャルーンさん(31)で、元軍人だったとされる人物です。シカリンさんはタクシー運転手として働く一方、高齢者や障がい者、患者の送迎を無償で行う「ボランティアタクシー」として地域でも知られていました。
目撃情報や家族の証言によりますと、シカリンさんが乗客を送迎していた際、複数の男性らが車を取り囲み、両側のドアを開けて暴行を加えたということです。男性らは木製バットのようなもので殴打し、その後、1人が拳銃を発砲。シカリンさんは車内で銃撃を受けながら逃走を試みましたが、路地の突き当たりで壁に衝突し、その場で死亡が確認されました。
遺族側は、加害者グループについて「違法タクシーの関係者ではないか」と主張しています。また、シカリンさんは以前から縄張りや客の取り合いを巡って地元タクシーグループとトラブルになっていたとも明かしています。さらに、毎月3,500バーツ(約17,000円)ほどの「みかじめ料」を支払っていたにもかかわらず、嫌がらせや圧力を受け続けていたといいます。
一方、事件後の警察対応にも疑問の声が上がっています。地元警察は当初、「犯人は1人」と説明し、さらに現場周辺の防犯カメラについて「すべて故障していた」と発表しました。しかし、その後、市民が撮影した動画がSNS上で拡散され、複数の男性らがシカリンさんを取り囲んで暴行する様子が確認されたため、「捜査が不透明ではないか」との批判が強まっています。
事件当時の映像(0:32~):https://youtu.be/nId4m-vGH6g
また、遺族によりますと、出産からわずか1か月の妻のもとに不審な電話があり、「現場近くに来るように」と指示されたということです。正式な警察からの呼び出しではなかったため、家族は身の危険を感じ、現在は安全確保のため別の場所へ避難しているとされています。
タイメディアによれば、警察は現在までに容疑者1人を拘束しており、残る関係者の行方を追っています。今回の事件は、観光地における「マフィア的勢力」や交通利権の問題を浮き彫りにしたとして、社会問題としても注目を集めています。





















