「列車の都心乗り入れ廃止案」に批判 バンコク列車・路線バス衝突事故を受け交通相が検討指示
バンコク都内マッカサン地区で貨物列車と路線バスが衝突し、多数の死傷者が出た事故を受け、タイのピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は、列車のバンコク都心部への乗り入れを見直す方針を示しました。一方、野党側からは「発想が浅い」「国民に負担を押し付けるものだ」として、厳しい批判の声が上がっています。
事故は2026年5月16日、バンコク都ラーチャテーウィー区マッカサン地区の踏切付近で発生しました。貨物列車が路線バスに衝突し、バスが炎上するなどして、これまでに8人が死亡、32人が負傷したと報じられています。
この事故を受け、ピパット運輸相はタイ国鉄(SRT)に対し、バンコク都心部へ乗り入れる列車の運行形態を見直すよう指示しました。特に、都心部を走る列車の本数削減や、将来的な乗り入れ廃止の可能性について、3カ月以内に検討を進めるよう求めたということです。
また、運輸省は緊急措置として、貨物列車の運行時間を午後10時から午前4時までに制限する方針も示しました。さらに、遅延した列車を通常時間帯に都心部へ進入させないことや、原油など一部貨物の輸送を原則として見直すことも検討されています。
ピパット運輸相は、今回の事故を重く受け止め、都心部に残る踏切や道路との交差部分について、安全対策を抜本的に見直す必要があるとの考えを示しています。運輸省は今後、タイ国鉄やバンコク大量輸送公社(BMTA)など関係機関と連携し、バンコク都心部における鉄道と道路交通の運用計画を再検討する方針です。
一方、この方針に対し、野党・人民党のパリット・ワチャラシンドゥ下院議員は強く反発しました。パリット議員は、列車の都心乗り入れを廃止するという考えについて、「問題の本質を解決するものではなく、発想が浅い」と批判しました。
パリット議員は、鉄道は多くの市民が通勤や通学、生活のために利用している重要な公共交通機関だと指摘しました。その上で、列車の都心乗り入れを制限すれば、利用者は途中で別の交通機関に乗り換えなければならず、移動時間や交通費の負担が増える可能性があると訴えました。
また、同議員は「安全対策を強化すべきであって、公共交通サービスそのものを削るべきではありません」と述べ、踏切の安全設備の改善、交通管理の強化、道路と鉄道を立体交差化するための長期的なインフラ投資などを進めるべきだと主張しました。
今回の議論は、重大事故を防ぐために鉄道の都心乗り入れを制限すべきか、それとも公共交通としての利便性を維持しながら安全対策を強化すべきかという問題を浮き彫りにしています。
政府側は、再発防止に向けて鉄道運行の見直しを急ぐ姿勢を示していますが、野党側は、安易な運行制限は市民生活に大きな影響を与えるとして、慎重な対応を求めています。今後、運輸省とタイ国鉄がどのような具体策を示すのか、注目が集まっています。





















