タイで有名なオバケの話 ピー・ターイタンクロム(ผีตายทั้งกลม)
ピー・ターイタンクロム(ผีตายทั้งกลม)は、タイの民間信仰において特に強い怨念を持つ存在として恐れられている女性の幽霊です。「妊娠中」あるいは「出産時」に母子ともに命を落とした女性の霊を指し、タイの怪談や伝承の中でも特別な存在として語り継がれています。
タイで最も有名な幽霊であるメー・ナークも、この「ピー・ターイタンクロム」の特徴を持つ存在として知られています。
■ 容姿と特徴
ピー・ターイタンクロムは、伝統衣装を身にまとった女性の姿で現れることが多く、腕の中に赤ん坊を抱いている姿で語られる場合もあります。
タイの民間信仰では、母親と胎児の二つの命が同時に失われたことから、その怨念や未練は非常に強いものになると信じられています。そのため、一般的な幽霊よりも強い霊力を持つ存在として恐れられてきました。
また、夜の静かな場所で子守唄のような声や女性のすすり泣きが聞こえるといった怪談も数多く残されています。
■ 起源と伝承
ピー・ターイタンクロムの起源は、出産に伴う悲劇的な死にあります。
医療技術が発達していなかった時代には、難産によって母子ともに命を落とすケースが少なくありませんでした。そのため、人々は母親の無念や生まれてくることのできなかった子どもの悲しみが霊となって現世に留まると考えるようになりました。
また、地域によっては怨霊化を防ぐために、埋葬時に特別な儀式を行ったり、遺体に針を刺したりする風習が存在したという伝承も残されています。
■ タイの呪術文化との関係
ピー・ターイタンクロムは、タイの伝統的な呪術文化とも深く結び付いています。
特に一部の黒魔術伝承では、出産時に亡くなった女性の霊が強い霊力を持つと考えられ、その力を利用しようとする呪術が語られることがあります。
こうした伝承は現在でもタイの怪談や都市伝説の中で語り継がれており、人々の畏怖の対象となっています。
■ 関連作品(映画・ポップカルチャー)
ピー・ターイタンクロムは、タイホラーにおいて最も有名な怨霊モチーフのひとつです。
代表的な存在として知られるのがメー・ナークであり、多くの映画やテレビドラマで描かれてきました。
また、ホラー映画『悪魔の芸術(Art of the Devil)』シリーズでは、タイの黒魔術や死者の霊力を利用するオカルト要素が描かれており、ピー・ターイタンクロムを連想させるモチーフも登場します。
現代のポップカルチャーにおいてピー・ターイタンクロムは、単なる幽霊ではなく、「母親の愛情と喪失」「未練と執着」という人間の深い感情を象徴する存在として描かれ続けています。





















